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板橋区私立保育園
こどもと社会の未来を育む認可保育園
~認可保育園の役割と今後の展望~

板橋区私立保育園園長会
会長 伊崎 守

☆はじめに

教育基本法第10条では、「保護者は子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身につけさせる‥」と、生まれたこどもの教育責任は保護者にあると規定しています。

しかしながら著しく変化する社会情勢のなかで、保護者の多くは子育てに対して大変苦慮しているように私たちは感じています。その結果、朝食をとらないで登園する子、仕事が過密になりこどもとほとんど会話ができない保護者、集団保育が理解できず保育園の行事に参加しない保護者、こどもの生活より保護者の都合を優先させる保護者が多くなるなど、保育園でもこどもたちの成長や社会性、コミュニケーションなどに大きな影響を与えかねない状況が生まれているように思います。

保護者のなかには、保育園に預けておけば乳幼児の発達における基本的な生活習慣が身につくと錯覚している方々もいらっしゃいます。また増え続けるこどもの虐待、保護者の産後うつなど子育てをとりまく環境の変化は保育園に大きく関係しています。

私たちはこのような最近の子育て状況をなんとかしたいとの思いから、園長会としての行動計画である「子どもと社会の未来を育む認可保育園」を作成しました。

少子化で打ち出される様々な施策を拝見しますと、こどもの視点があまり見受けられないように思いますが、「こどもがいても働いていられる社会」よりも、「働いていてもこどもを健全に育てられる社会」こそが望ましいのではないでしょうか。

板橋区の私立保育園は、制度のない時代から社会が求めるさまざまな先駆的取り組みを行ってきました。少子高齢化が進む今、私立保育園に期待される役割はますます多様となり、重要であると考えています。私たちは、これまでの実績を生かしてこどもたちが健康でゆたかに育つよう、先を見据えた子育て支援をしていきます。

私たちのこうした考え方について、関係各機関、保育に携わるみなさまのご理解を賜りますようご提案申し上げます。

 

☆板橋区私立保育園園長会の基本理念

  • 私たちは、こどもにとっての最善の利益のために行動します。
  • 私たちは、子育てのよろこびを保護者と共に共有し、社会に伝えます。
  • 私たちは、こどもに対する家庭と地域の役割と責任の周知に努めます。
  • 私たちは、子育ての責任を果たせる保護者の働く環境づくりを提唱します。

☆認可保育園の役割と機能

○こどもの発達支援
○保譲者の多様な働き方への支援
○家庭教育の代替補助
○地域子育て家庭への支援
○就学に向けての幼児教育
○地域との交流活動
○保護者に対する子育て教育

 

☆私たちが目指す子育て環境

「こども」を中心に「保護者」「地域」「保育園」がそれぞれ役割を果たし協力し合って子育てを行う環境をめざします。

 

☆現状課題

  • 保育園の役割と機能の周知
  • こどもが伸び伸びと育つ環境の不足
  • 子育てに不安や悩みを抱える保護者への相談援助
  • 保護者の子育てに関する教育の必要性
  • 在宅での子育てを支援する仕組みの必要性
  • 各種関係機関との連携の必要性
  • 専門性のある職員になるためのキャリアプログラムの必要性
  • 職員が安定して働き続けるための待遇改善
  • 定量的問題(待機児童数)だけでなく定性的問題(保育の質)解決の必要性

 

☆課題解決への行動計画

◎中期計画(3年)

○職員が専門能力を身につけ保護者に対する子育て相談力を強化する

○園児の体力低下を防ぐため、自然体験活動など体を動かして遊ぶ活動を充実する。

○保育園の役割と機能を地域に知らせる仕組みをつくる(広報機能の充実)

○子育て体験(保育体験)を通じて、地域子育て支援活動を実施する

○各種関係機関とのネットワークをつくりあげる

◎長期計画(5~7年)
(平成19年度~26年度)

○保育園の利用に関わらす、地域の全てのこどもの生さる力を育てる機能をつくりあげる

○仕組みとして子育て相談機能を強化する

○子育て塾を開設する(保護者が子育てを学ぶ場を設置)

○子育て環境の脆弱化を解決するための取組みを強化する

○親子で共に過ごす時間を拡大するための環境を整備する

○保育士など職員の役割に応じた労働環境を整備する

 

発行者:板橋区私立保育園園長会
会 長:伊崎 守
発行日:2007年6月1日